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渦巻バネの作成

渦巻バネの作成

渦巻バネの必要性

尺八の1オクターブ低い音のする長D管を作っているわけですが、1孔と1補助孔を閉じるときの弾性体として使用する渦巻バネを作成します。
1孔用のパッキンの上にこの渦巻バネを載せて、その上からパッキンレバーで押さえます。
手レバーをゆっくり押して行った時の様子をスローモーションで考えてみましょう。
1孔用パッキンも1補助孔用パッキンも同時に近づいてきますが、先に1孔パッキンが1孔を閉ざします。
その後もパッキンレバーは運動を続けますので、1補助孔のパッキンは1補助孔に近づいてきます。
そうしますと、すでに到着していた1孔パッキンは困ってしまいます。更に1孔用パッキンレバーが迫ってくるからです。

そのために1孔用パッキンレバーと1孔用パッキンとの間に弾性体を設けておくのです。
この弾性体が渦巻バネです。

渦まきバネ

渦巻バネというのは私の呼び方で、正式には円すいコイルバネといわれるようです。
wikipediaでは圧縮コイルバネのひとつとして、円すいコイルバネとして分類されていますが、簡単に言いますと、乾電池ホルダーのマイナス側によく使われているバネです。

通常の円筒型の圧縮コイルバネは、全圧縮されたとき、線径×巻き数の長さが残ってしまいますが、この渦巻バネは1本の線径までに圧縮できますので、きわめて小さな長さにすることができます。
例えば線径0.8mmで作られた渦巻バネは、自由時に5mmの長さのものを0.8mmまで圧縮することができます。

今作ろうとしている長D管尺八のパッキン部分には大きなスペースはありません。
このため作動時に非常に短くすることのできる渦巻きバネを使うことにしたわけです。

しかし最初からそうだったのではありません。
何回も試行錯誤の結果たどり着いた結果です。
一番最初はとにかく厚みの厚いパッキンを使ってみました。これは原理的には良いのですが、これを圧縮しきって1補助孔を閉じるには手レバーを大変な力で押す必要がありました。実用にはなりませんでした。
次には目の粗い柔らかいスポンジをはさんでみましたら、力は改善できましたが、スポンジがへたってしまい、これも実用にはなりませんでした。
そのためU字型のバネにしてみたり、つづみ型のバネにしてみたりしてみましたが痛しかゆしばかりでした。
そうしてやっと実用になったのがこの渦巻バネです。

渦巻バネの作り方

これは外からあまり見えませんので格好良く作る必要はありません。
0.8mmのバネ用ステンをラジペンで曲げていけばよろしいです。
巻き数は3回前後とします。

外形24mmから26mm程度、高さ5mmとしましたが、もう少し高くした方がよいかもしれません。
半田付け工程でこの高さの差は吸収できます。

最初、円錐形の渦巻型に曲げていきましたが、なかなか難しいです。
蚊取り線香のように、平たい状態の渦巻にし、出来たら中央をつまんで引き延ばせば所定の長さの円錐形にすることができます。
これが作り方のポイントです。
四角形の渦巻でも動作はできました。
外側から作っていくのでなく、中心から外に向けて作り進む方が楽でした。
0.8mmのステンバネ材はホームセンターに売っていました。

丁寧に調べていませんが、バネの専門店ではこの形のバネを販売しているようですから、注文すれば作ってくれるかもしれません。
すくなくとも電池用のものは一袋いくらの状態で市販されています。



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