手孔の開口端効果開口端効果空気は下の模式図のように筒から飛び出した位置で振動します。 この図の筒から飛び出した部分を開口端効果と言います。 ![]() 尺八の第1孔の場合は歌口と第1手孔を両端とする筒として空気が振動します。 歌口の開口端効果は前項で説明しましたようにすでに分かっています。 しかし手孔の開口端効果はまだわかっていません。 手孔の開口端効果 手孔の径は本体筒の径よりも小さいため、一般には管尻の開口端効果よりも大きくなります。 別品で手孔を開けて音程を測定し、ここから求めることもできますが、小穴をあけた場合の開口端効果を研究した論文が発表されています。 開口端の面積が管の断面積より小さくなるとどのように変化するかは静岡県立科学技術高等学校の研究結果として発表されています。 この中に、「図 10 を見ると、面積率が大きくなるほど開口端補正が小さくなる傾向が見られた。」と記されています。 現在作っている長D管の筒内径は44mm、手孔の径は20mmですから、面積比は(20/44)^2=0.2となります。 上記論文の図10から面積比0.2のところを見ますと、開口端効果は41mmと読み取れます。 手孔の開口端効果をΔAと記します。 ΔA=41 です。 パッキン距離の影響 通常ですとこれで孔位置は計算できますが、手レバーを全開の状態にしていても、1孔をふさぐパッキンが通常よりも近づています。 このためいわゆる「かぶせ」のような状態となって音程が下がります。 これは計算で求めるわけにはいきませんので、別品で実験的に求めました。 その結果、パッキンが5mmの位置にある場合、全開の時よりも音程が20セント下がることがわかりました。 1孔はツ、すなわちFであり、λ/2は992.9、F#のλ/2は937.2ですのでその差の20%は (992.9-937.2)*0.2=11mmとなります。 常時パッキンが5mmのところまできているため音程が下がりますから孔位置を11mmを高くしなければなりません。 この値をPで示すことにします。 P=11 です。 第1孔の位置計算 以上をまとめますと次の方程式になります。 頭頂から1孔の中心までの距離をdとして λ/2=ΔU+d+ΔA+P d=λ/2-ΔU-ΔA-P となります。 ここへ求められている数値を入れてみますと λ/2=992.9 ΔU=105 ΔA=41 P=11 d=992.9-105-41-11=835.9 これを836とします。 第1孔の位置は 頭頂から836mmの位置となります。 |