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ツハの大メリを出す方法

ツハ大メリを出す方法

手孔によるメリ音の発生

通常の尺八より1オクターブ低い音のする長尺D管です。
手孔の直径は通常の尺八では10mm程度ですが、20mmになっています。
研究として、1孔を残して全部閉ざした状態で、1孔の上方にパッキングを置き、徐々に近づけてみました。
5mm以上離れているいる場合は普通のツです。
もう少し近づけますとツの半音下がり、小メリの音が出ます。
しかし更に近づけますと、大メリにならず、音がしなくなってしまいました。
大メリ、すなわち半音2つ分下げようとしてわずかな隙間にすると音が出なくなってしまうわけです。

筒音の乙ロの場合、ひび割れなどでわずかの空気漏れがありますと全く音が出なくなりますがそのような状態になってしまいました。

このため7孔尺八のように1孔の下に「1補助孔」とか「1'」という孔をあけることにしました。
しかしそれからが問題です。
私はずっと5孔尺八のみ吹き続けてきましたので、1孔を操作する手レバーのほかに別のレバーを増設はしたくありませんでした。
1孔操作用の手レバーを1手レバーと呼んでいますが、この1手レバーの押し具合で「1補助孔」をも操作したいと考えました。

1孔用のパッキングの上にばねを設けることによってこの操作ができるようになりました。
研究段階ではばねを設けず、厚みの非常に厚いスポンジパッキングを使ったこともありましたがこれでも原理的には同じです。
1孔とそれ用のパッキンとの距離を、「1補助孔」とそれ用のパッキンとの距離よりも小さくし、同一軸で閉じ方向に操作した場合、1孔のほうが先に閉じられ、「1補助孔」は遅れて閉じられるようにします。その1孔と「1補助孔」の閉じられる間の軸の回転は、1孔用パッキンに持たせた弾性のたわみにより許します。

写真による説明

ここに3枚の写真を示します。

上の写真は1手レバーをまだ押していない状態です。
写真の左の手孔は1孔で、右の手孔は「1補助孔」です。
この状態ではツ音です。
全開

中ほどの写真は1手レバーを6,7割押した状態です。
この状態では1孔は閉じられていますが、
「1補助孔」はまだ閉じられていません。
従いまして、「1補助孔」のみが開いていますので、ツの大メリ、音が出ます。
半開

一番下の写真は1手レバーを押し切った状態です。
「1補助孔」も閉じられ全ての手孔が閉じられました。
これでロ音になります。
全閉

下から見ていただけば逆工程になりますので、1手レバーを少し上げればなり、
全部上げればツになることがお判りいただけると思います。

なお、写真には示していませんが、1孔が閉じられるほんの少し前の状態にすれば、半音だけ下がったツの小メリ音になります。

以上はツの大メリ「」についての説明ですが、ハの大メリ「」については4孔に「4補助孔」を設けて同様に行います。

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