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絵付き尺八

絵付き尺八

芸術性の向上

木製の尺八において、いかに芸術性を向上させられるか色々考えてみました。
形は旧来の尺八そっくりとし、節や根の部分も竹のような形にしながら芸術性を高めるには、絵を付けることではないかと考えました。
菅尻近くの根の部分だけに絵を入れたものも作りましたが、どうも貧弱感が拭えず、全体的に入れることにしました。

墨絵のような書き方もあるでしょうが、蒔絵のような調子にしてみました。
金のみ、銀のみではなく、金銀を組み合わせました。

絵付き尺八の写真

これがその絵付き尺八の写真です。
絵付き尺八
絵付き尺八
実際に金粉や銀粉を使い蒔絵で描こうと努力しましたが見るに堪えない状態となりこれはあきらめました。

金銀の水性ペイントを極細筆で描いてみました。

苦労した点

金色も銀色もそうなのですが、伸びがないので困りました。
黒地の上に筆で描こうとしても、すーっとついて来てくれないのです。かすれてしまうわけです。
そこで、界面活性剤を加えてみましたら、まあなんとかいける程度になってくれましたのでやれやれでした。

例えば紙や木の上なら、金銀のペイントはすいすい描けるのですが、成形されたプラスチックなどはじきの強い面の上では上手く書けないのです。
筆に含んでいるペイントが、素材から引っ張り出されないのでしょう。
その事に気が付き、界面活性剤で濡れを良くしたわけです。

どういう絵を描くか下書きは作りましたが、紙の上です。
平面の紙の上です。
これを筒状の尺八の表面に描くのですが、描いた下絵を尺八の表面に写すことが難しかったです。
全くの円筒形ならば可能性もあるでしょうが、尺八には節があるのです。
ですから平面状の紙を巻き付けることが出来ません。

下書きを参考する方法

先ず下書きをコピーして2枚にします。
そのうちの1枚の下書きを、カッターで1cm程度の幅に横に切ってしまいます。
テープ状にしてしまうわけです。
上から順にその1cm幅の下書きを巻き付けて行きます。
貼り付けは糊ではありません。始と終わりを紙テープで簡単に止めます。
節の所は長さが違ってしまい巻き付けられませんので飛ばします。
このようにしながら巻き付け出来るところに全部巻き付けます。

一番最初は一番上の下書きを一つはがすことです。
そうしてその下の張り付けてある下書きと、コピーしてある下書きとから、大体こうなっていると推測して筆で描き込むのです。
次は2番目のテープ状下書きをはがし、その部分の絵をこうなっているはずだと推定しながら描くわけです。
節の所は元々テープ状の下書きが貼ってありませんから、想像で描きます。

そうして最後まで行ったら全体をよく見て、修正すべきところは修正します。
繋ぎつなぎで描いてありますので滑らかさがない所が出やすいです。
このようなところを筆で補修します。

あとがき

この蒔絵風絵付き尺八を作った当初は、私は気に入って随分使い込みました。
そうしましたら、手孔の周りとか、親指や中指で押さえている所などが剥げてきてしまいました。
最初のうちは剥げたところを補修したりしていましたが、結局いつのまにかあまり使わなまなってしまっていました。

残念ながら「飽きが来る尺八」だと言えるのではないでしょうか。
芸術性は高くても、それだけで満足は出来ないのだと自分で覚った次第です。