ラッパ部内部の段差尺八の菅尻部分をラッパ型に開くようにした場合、単にラッパ内面をラッパに沿って滑らかにしますと、甲音が旨く出ません。その原因は開口端効果が周波数によって変わってくるためと考えられ、この問題を解決するためにラッパ部の内面に段差を付けました。 乙音でも甲音でもこの段差によって、空気振動の反射が開始されるため、1オクターブを上手く出すことが出来ます。 ラッパの内面が滑らかにラッパ状になっていますと空気振動の反射開始点が周波数によって変わってきてしまうため尺八として機能しなくなってしまいます。 この段差は空気振動において、尺八本体の菅尻を意味していますが、どのような段差がよいのか作品の写真を紹介します。 2本の例平面状の段差を持つものと、Rを持つものとの写真です。![]() 平面とRの段の例
このように平面状の段差でも、ここにRを付けたものでも甲音を出すことが出来ます。平面状段差の拡大![]() 平面段の例
R付き段差の拡大![]() R付段差の例
ここには紹介していませんが、人がロングスカートを履いたように、ラッパの内側に筒型尺八の本体を突き出す方法でもうまく行きます。要するに空気の振動に対して、ここが反射開始点ですよと知らせられれば良いわけです。 その意味で、前述の平面状段差でも、段差の幅が著しく小さく、例えば0.01mmほどであったとしますと、空気振動はそこを乗り越えて通過してしまい、反射開始点として作用しませんので、甲音を上手く出すことは出来ません。 では、許される段差の幅はどれだけかと申しますと、計算で求めることは私には出来ません。 空気振動が反射を開始するに十分なだけの幅が段差に必要であるということです。 その数値は実験と経験によって見だす以外現在の所では仕方ありません。 上記の写真に見られる程度、数mm以上あれば良いようです。 |